Elinの感想#
何の話?#
何ヶ月かプレイしていたElinというビデオゲームの感想をまとめた記事である。
Steamのレビューとして投稿しろやという感じだが、「他人におすすめはできないがSteamで低評価はつけたくない」というアンビバレントな位置付けにあり、ブログへひっそりと吐き出すことにした。
Steam上のプレイ時間は、ベータ版が400時間でアーリーアクセス(EA)版が93時間、どちらも1/4くらいはDiscordに居たり無関係なことをやってたので、正味はその程度少ない。
Elonaもかつて数百時間プレイしている。ただ、半分以上はomakeまたはomake_overhaulのヴァリアントである。
この記事を最初に書いた時点のElinバージョンは23.45である。
気になった要素#
良くも悪くも、何らか意見があったり感情に残ったゲームの要素を列挙して、感想を述べていく。
クォータービュー#
最初はわかりにくく操作しにくかったが、まぁそこそこのプレイ時間で慣れた。
一点だけ、壁がマス目の中央に描画されていないことで、上下が対称にならない点だけは今でも嫌だと思っている。
わかりやすさや操作しやすさを考えた時に、単純な碁盤目状と比較してクォータービューに良いところは無いので、ハウジングや一枚絵としての見た目を優先したんだと解釈した。
そして、自分はそれらには興味がなかった。
スタミナ制度#
明らかに完全に失敗していて、今からでも無くした方が良いと思う。
スタミナは睡眠により回復し、睡眠はゲーム内の時間経過を伴う。
時間経過には、月々の税金やエーテル病の発症の不利益があり、なるべく控えたいものである。
スタミナを効率的に使うことが、生活する上で目指すべき基本的な振る舞いである。
...というのが、最初にプレイした時に自分が把握したゲームシステムだった。
実際はそこまで厳しくなくても、プレイに緊張感を出すには良い仕組みだと思った。
しかし、実態は真逆で、かなり早い段階で時間経過は利益の方が高くなる仕組みだというのを理解した。
税金はほぼ自動で得られる利益からすれば微々たるもので、エーテル病も収入とは比較にならないほど少ない資源で解決できる。
また、採取できる貴重なリソースも時間経過で回復する。
スタミナを効率的に使う必要は無いし、何ならバージョン23.45時点では、「FT農法」という、意図的に時間経過を進めることで大きな収益を上げる技法が主流である。
良いゲームの基準というのは、究極的に単純化すれば「ユーザーが使った時間に対して高い快楽を得られること」であり、本ゲームの時間経過という少ない手間で大きな利益が出る仕組みはそれ自体が問題ではない。
しかし、それに対してスタミナ制度は意味がない。プレイが不便になるだけなので、廃止して欲しいと思っている。
ゲーム内のドキュメンテーション#
説明不足という評価が多いが、現時点では普通だと思う。
サンドボックス系のゲームで要素が多い故に絶対量としての説明不足は累積するが、要素に対する説明量の割合にすると標準だと感じる。
例えば、成熟した後のマインクラフトやRimWorldやKenshiのプレイ感もこれに近いものを感じるし、まだ未成熟だということを考慮すれば目立った問題ではないだろう。
ただし、未成熟な現在から、上記で例として出したゲームたちのように成熟した状態程度に改善できるかは、あまり期待は持っていない。
作者氏がおそらくは、「情報不足の状態の方がゲームは楽しいものだ」と考えていそうなためだ。
例えば、ダメージ表記を出さなかったり、キャラのステータス閲覧に制限があったり、ステータスの全てや細かい数値が見れなかったり、ヒントなしの試行錯誤を前提として仕組みが非常に多かったり、前作のElonaも同じように情報の表示が少なかったり、という点にその波動を感じている。
MODで解決する選択肢もあるが、UI上の利便性を超えてバランスに影響が出てしまうので(そういうレベルの情報が表示されていない)、導入をしたくない。
この推測している点がもし本当なら、個人的にはかなり好みではない。
戦闘や育成のバランス#
公式の「50階層を超えた戦闘バランスは考慮しない」という前提に基けば、良い方だと思う。
物理vs魔法は、魔法は強力で便利だが、マナ管理と魔法書の購入が必要だからどちらが良いとは言えない。
一人vsペットは、一人で黙々と鍛える手間vsペットを集めて管理する手間なので、どちらも一長一短だ。
強敵がボスになってしまい苦しむのも、ランダム生成ベースの冒険なら致し方ないことだ。
しかし、この評価は、あくまで50階層に合わせた場合の話で、そこを超えるとバランスが悪い。
試行錯誤にも手間が掛かり、大量のプレイ時間・セーブ&ロードの多用・ハックの乱用などを伴う必要があり、ゲーム体験が非常に悪い。
50階層というのは、自分のようにゆるふわプレイをしているものでも数十時間で到達できる域であり、こういう系統のゲームなら「これから楽しくなる」プレイ時間である。
少なくとも、1000階層に合わせて一からバランス調整するべきであり、物理vs魔法のような微細なバランス調整をしている場合ではないと思う。
ストーリー・世界観#
まだ全体的に対応されてないので不明だが、期待をしている。
ベースとなるイルヴァのストーリーは、今のところは先が気になりもっと知りたいと思っている。
古臭く悪趣味なジョークにまみれている世界観も好きだ。今の世の中では逆に得難い個性と言えるだろう。
それらをランダム生成で煮詰めた、真の意味で「カオス」な出力の紋様を眺めるのも、嫌いではない。
どれだけ世界やその中で生きる人々を感じさせてくれるのかは、前作Elonaでは未知数な点で、今後に期待している。
なお、Kenshiはその点において、とても意欲的な方針を打ち出していて、一定の成功は収めている。
本作も、不完全でもいいから違う回答を見せてくれればと願っている。
楽しさの軸の数#
普通ではないかと思う。
自分から見た楽しさの軸は、現在は「仕組みを理解することで、利益につながる楽しさ」のみであるが、ストーリーやコンテンツが充実してそれが成功すれば、世界観に浸る楽しさも出てくるのではと思う。
また、自分は興味がないが、ハウジングの仕組みは良くできていそうに思う。好きな人は好きそうである。
また、これも自分は興味がないが、「数値を盛る」楽しみはかなりあるように見える。戦闘に関わる数値なり拠点の収益を上げるなり。
期待はしていたが、あまり楽しめなかった要素には以下がある。
- ハクスラ
- 最終的な強いビルドパターンがほぼ決まっていて、強さを目指すと育成の多様さがない
- 隠されているゲームの内部ロジックを都度検証する必要がある
- 拠点運営やコロニーシミュレーション
- 非常に簡易的な内容
- 住人を多数配置できるが、それらが自律的に動いて作業したりはしない。実質は数値上のリソース。
- どちらかというと、ゲーム性やバランスに良くない影響を及ぼしている
更新頻度#
毎日更新があるのが楽しかった。
しかし、微調整が多く、根本的な変化はなさそうなことに気づいてしまってから、そこから得られる栄養がなくなってしまった。
まとめ#
まとめると、5段階評価なら3の評価である。
大量のプレイ時間が必要になるゲームということもあり、それを踏まえると知り合いには勧められない。
長い期間を見れば、今後にまだ期待は持てそう。
3ヶ月周期くらいで確認しましょう。